ラテン語で「日本」を読む(辞書と仲良く編)

わからない単語を調べるにも辞書の見方がわからないとどうしようもない。

 

もちろん辞書に凡例が付いているのでそれを参照するのが間違いないんだけど、

ここでは新出単語の語形変化についてまとめたいと思います。

 

ちなみにここでいう「辞書」とは羅和辞典、ラテン語日本語辞典のことです。

それでは実際の文章から単語をピックアップして見てみます。

 

まずはcivitasという単語。

辞書でcivitasを引くと、

civitas -atis, f 国家

という表記があります。これは名詞ですね。

 

単語が名詞の場合は、最後の”f”に注目しましょう。

この”f”は、この単語が「女性名詞」であることを意味しています。

 

ラテン語には名詞に性がある

英語にはないけれど、他のヨーロッパ言語ではお馴染みの名詞の性です。

ラテン語には、男性、女性、中性の3つの性があり、

 

その性に合わせて他の関係する語も語形を変える必要があるのです。

そのあたりはおいおい見ていくとして。

 

ちなみに真ん中の-atisですが、これは語尾変化パターンを表しています。

どのように語尾を変化させるかはこの下に書いていますが、

詳細はおいおい見ていくことにします。いろいろと面倒なので。

 

次にinという語。

in prep <+abl> (空間的)…の中に

英語でお馴染みのinと同じ意味っぽいですね。

prepということで、ラテン語にも前置詞があります。

 

注目すべきは、意味の前に書いてある<+abl>。

辞書には他に、<+acc>という表記もあります。

 

これは、この前置詞の後にどういう形が続いて、

その形の場合にどういう意味になるかを示しています。

 

「形」と書きましたが、言語学的には「格」と言われているものです。

格についても、おいおいまとめていきますね。←そればっかり

 

1つだけ。

辞書に載っている形は「主格」と呼ばれる形です。

主格が何かとか用語はともかく、

とりあえずメインってことだな、くらいで覚えておいてください。

 

今度はpermultasという単語。

この単語はそのまま見出しには載っていないのですが、

辞書に、形がよく似た”permultus”という単語を発見しました。

permultus -a -um, adj 非常に多くの

「非常に多くの」という意味の形容詞ですね。

 

後で説明しますが、permultasの正体はこの単語で合っています。

単語の後ろに、civitasの時と同じく語尾変化パターンが書かれています。

 

見出しの語も含めて3つ形があります。

これは、ちょっと上の方の話を思い出してください。

名詞に3つの性があると書きましたが、それと関係しています。

 

つまり、形容詞も名詞の性によって語尾が変わるんですね。

 

語幹と語尾

語尾変化パターンとはいうものの、では一体どういうふうに変化するのか。

 

こう書いてあると、英語の辞書にある、複数形や過去形のようなノリで、

この語尾を単語の後ろにくっつければいいのかな?

 

と思ったりするかもしれませんが、そうではありません。

ラテン語には「語幹」というのがあるんですね。

 

辞書には語幹になるのがどこまでかは書いていません。

 

私が勉強した放送大学のテキストには、

語幹と語尾を分ける縦線が書かれていたので助かったのですが、

今回は、見当をつける感じで読み解いています。

 

permultusの場合は、permult-までが語幹です。

辞書は、見出しが男性形で載っていて、

続いて女性形の語尾、中性形の語尾が記されています。

 

つまりpermultusの場合は、

  • 男性形:permultus
  • 女性形:permulta
  • 中性形:permultum

となります。

 

で、結局はpermultasは何?ってことですが、これは女性形のpermultaが、

いろいろな事情により、格変化していたものなのです。

 

つまり、名詞と同様、形容詞も、性があるだけに留まらず格変化もするという…

 

気が遠くなっちゃいますね。私も実際そんな気持ちです。

 

最後、positaを見てみましょう。

この語もそのものずばりな形は載っていません。

しかしさっきと同様、それっぽい語でpositusというのがありました。

positus -a -um, pp → pono

 

この語尾変化パターンに-aがありますね。

上で見たpermultusと同じようです。

 

そして矢印で、「ponoを見よ」的な指示が。

ん?と思いつつ、指示に従いponoを見るとこんな感じ。

 

pono -ere posui positum 置く

 

見出しの中にpositumがありますね。

どうやらこれのことを指しているようです。

意味から、これは動詞だということがわかります。

trはこの辞書では他動詞の意味です。

 

さて、ではponoとpositaの関係ですが、

辞書の見出しに、名詞や形容詞同様、変化パターンが書かれています。

でもさっきと様相が違いますね。

 

動詞は通例、直説法現在の1人称単数形が見出しに載っています。

そして次は動詞の原形を記しているのですが、

ここでは語尾の-ereだけが書かれています。

 

ponoは語幹がpon-なので、

ponereという語がこの動詞の原形になります。

 

そしてその次のは直説法完了の1人称単数形。

このあたりは私もよくわかっていないので後回し。

 

ここで注目したいのが最後の形。

これはこの動詞の過去分詞形なのです。

 

過去分詞と聞くと、受け身とか現在完了とかが頭をよぎりますが、

今は「〜される」という形容詞と理解しておきましょう。

 

するとpositaは、「ponereの過去分詞の女性形」ということがわかりますね。

 

辞書と仲良く

ラテン語、辞書を読み解くだけでもなんだか厄介な言語っぽいですね。

私自身、あまり性や格変化に慣れていないので混乱しそうです。

 

でも語学を(こんな感じで)やっていくには

辞書とは仲良くしないといけないんですよね。

これは私の持論です。

 

辞書の見方は折に触れてまた取り上げるとして、

次こそ本当に精読していきますね。

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